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3日目:チューリヒ→バーゼル

 7時に起き、ホテルの食堂へ。
「飲み物は?」と訊かれたのでコーヒーを頼んだけど何も出てこない。
ご飯はあるけれど、タイ米のようにぱさついて硬くて芯があって、要するにまずかった。
部屋に戻って準備をしてホテルのすぐ目の前にある停留所からトラムに飛び乗る。
次にバーゼルで宿泊するのでバックパッカー状態で移動する。
とはいえまだ泊まる場所は決まっていない。

とりあえず、時期的に閉館中だけれど、チューリヒに来たからにはぜひ見ておきたかった
コルビュジェ・ハウスに向かう(会館時期は7月〜9月)。
10番のトラムでセントラルまで行き、4番トラムに乗り換えて8駅先のHoschgasse駅で降りる。
チューリヒ湖に向って3ブロックほど歩くと屋根が見えてきた。



ル・コルビュジェ最期の作品はメカニカル。
スチールフレームのカーテンウォールにRC打放し、角張って無機質な感じは晩年の柔らかい作風から一転している。それでもビビッドな色使いがポップでかわいい。





残念ながら入れないので、一生懸命窓から中の様子を覗いた。どうやら地下室もある。



すぐ隣の公園に建設中のトイレ。
ガラス張りで新しい感じだけど、それもまたコルビュジェ・ハウスによく馴染む。

コルビュジェ・ハウスにとりあえず満足し、チューリヒ中央駅へ。



チューリヒ中央駅正面の巨大なコンコースにはパンクやコスプレや兵士やサラリーマン、
ホームレスなど文字通り雑多多様な人種がひしめき合う。
宙に浮いたアンビエント・デザイン系の発光体が何とも神秘的。



10時過ぎの列車で一路西に向かってバーゼルを目指す。
しかしこの頃はまだ1等車と2等車の区別がよく分からない。
何か言われたら移動しよう、ということでとりあえず空いている席に腰を下ろし
ビールを飲んでついうとうとする。

出発して1時間ほどの11時でバーゼル駅に着く。
バーゼル駅は一部改修され、新しいデザインと伝統的な重厚感のあるデザインが
入り混じる。







 ↑ プラットホーム上屋の、10m以上はある列柱が林立するさまは壮観である。

しかしここで、大きな過ちを犯してしまう。

てっきり西に向かっているので駅には東側から入ったと思っていたら
実は西側から進入していたらしい。
そのため、南北の方向が完全に逆になってしまっていた。
念のため持っていた方位磁針で確認したのだが、駅周辺には強い磁場が働きやすく
方位磁針はあてにならないということを、後で駅舎の設計をやるようになって分かった。

この勘違いがタイムロスを誘う。

今晩の宿探しをするために駅のインフォメーションに行くと結構混んでいる。
なるべく安いホテルを探したいと相談すると
「ここで扱っているのは2、3万以上のホテルです。
安いのはこのパンフレットに載っていて、駅に近いのはこれとこれとこれだから
自分で電話して」
と、スイスに来て以来初めての冷遇ぶりに切なくなる。
近いから直接行くか、と思って探し始めたものの、地図と実際の街路がまるで違う。
なんでだろう?と考え込んで、近くのパン屋さんに入って店員さんに地図を見せているとき
ようやく方位を思い違いしていたことに気づく。
急いで駅に戻り、とりあえず電話で目当てのユースホステルと、
明日ベルンで泊まるホテルにもついでに予約した。


予約を取ったJugendherbergeに行く。
ユースホステルでも一泊7000円!
荷物を預けてスタート。

せっかくなので、ヘルツォーク&ド・ムーロン(H&dM)設計のシグナル・ボックスと
機関車車庫を見に行こうと思い立ってしまった。
歩き始めると小降りだった雨がだんだん本格的な降り方になり、
小さな折り畳み傘程度では歯が立たない。
線路脇の小径はほとんど水溜りで、全身汗と雨でずぶ濡れになってきた。
濡れると今度は急速に気化熱が体温を奪い、疲労が溜まってくる。



シグナルボックス2。有名なのは初代だけど、個人的にはねじれが
よく効いているこっちの方が好き。

歩き続けること30分、ようやく機関車車庫が見えてきた。



打ち放しの上にガラスの箱が載る構成。
殺風景な引込線に似合わない繊細さ。
 
  
         
 ↓ 昔、アルバイト先のアトリエ事務所で幾度となく話題にのぼり
模型でもよくデザインをパクったヘルツォーク&ド・ムーロンの初代シグナル・ボックス。
ついに実物に出会えて感動。威風堂々のシルエット。

シグナルボックスを見たあとは、とにかくすごい雨になってきたため
いったん建物の庇の下で荷物を下ろし、紙にサインペンで大きく
「KUNSTMUSEUM(市立美術館)」と書き込み、
準備していた日の丸を描いた紙も一緒に持つ。

最後の手段、ヒッチハイクをしながらひたすら走る!
しかしいくら親日家が多いとはいえ、雨にずぶ濡れの大男を愛車に乗せてあげたいという
酔狂なスイス人がどれだけいるだろうか? おまけに閑静な住宅街にさしかかり、
自動車もほとんど走っていない。

一心不乱で走る中、目の前によく見たことのある建物が。
ミラー&マランタによる設計のアパートメントにばったり遭遇した。↓



まるでカラーコンクリート打放しのようにぶっきらぼうに見える外観は
実はPCパネルで、ちゃんと断熱も施されている。
のんびり見学できないのが残念だが、こんな偶然の
出会いが建築の面白いところと言えなくもない。

ここでバーゼル行動記録

 バーゼル駅
 Jugendherberge Basel City:宿泊したユースホステル
 シグナルボックス2
 初代シグナルボックス
 機関車車庫
 バーゼルの集合住宅:ミラー&マランタ設計AC
 市立美術館
 カルカトゥール・カトゥーン博物館
 UBS本社
 SUVA集合住宅&オフィス
 国際決済銀行
 SBBオフィス
 聖アントニウス聖堂
 シュヴィッター集合住宅
 シュッツェンマット集合住宅
 シュパレン門
 バイエラー財団美術館方面
 ヴィトラ本社方面
 タンゲリー美術館

結局、下図△妊罅璽好曠好謄襪鵬拱を預けてから〜Г隆屐
ようやくトラムの停留所を見つけられるまで
大雨の中を歩いたり走ったりすることとなった。

 

バーゼル市立美術館にやっと着く。この時点で相当疲れていた。↑
中庭でロダンの「カレーの市民」が雨の中うなだれながら歓迎してくれる。
館内のレストランで昼食をとり、しばらく休んでようやく元気になってきた。


バーゼル市立美術館の中。建築的にも大変美しい。





最上階ではジャスパー・ジョーンズの
特設展示をやっていた。 ↑



常設展示でもクレー、ピカソ、モネ、ブラック、ゴーギャンやゴッホなどのヨーロッパ近代アートから古典まで有名どころがバランスよくそろっていて見ごたえがある。

市立美術館を一通り見てまわり、次にカルカトゥール・カトゥーン博物館に行くことにする。
美術館からすぐだけど、入り口は普通の町屋で分かりにくい。



中は一転、またもやヘルツォーク&ド・ムーロン設計による改修が施された
ストイックでミニマルな空間になっている。
ただ、あまりにもストイックで結構つまらない。
白い壁、ガラス、むき出しの蛍光灯、塗り床、コンクリート打放し。
ギャラリーや博物館というよりは事務所っぽい。

マンガの展示が主役とはいえ、テーマは社会風刺が多い上にほとんど
ドイツ語で書かれていて、ぱっと見ても何が面白いのか分からない。
カルカトゥール・カトゥーン博物館の
H&dMはやっぱり内装より外観の方が得意なのか?

ヴェットシュタイン橋でライン川を渡りバーゼル駅に向かう真正面の角
まさにバーゼルの顔のような位置に建つUBS本社。



↑ これこそマリオ・ボッタの真骨頂と言えるランドマークぶり。
師匠であるルイス・カーンの影響が強く出ている・・・というか
本当にダッカの国会議事堂によく似ている。


↑ またもやH&dM設計のSUVA集合住宅&オフィス



↑ この集合住宅も見覚えがあるけど設計者不明。誰か教えてください。



↑ 国際決済銀行。これも設計者は知らない。


↑ 駅前にあるサイバーパンクなポストオフィス。その向こうには
H&dM設計のSBBオフィスのガラス張りの姿が見える。

5時ごろから急に雨が上がって空が晴れてきた。
今は6月、5時でもまだまだ外は明るい。

体力も完全に回復したので、ライン川より南側の旧市街地を見て回れるだけ見て回ることにする。
これまでずっとトラムの路線図がなくて不便だったのでインフォメーションで入手し、
さっそく スタート。(ここから路線図のPDFデータが入手できます。)

しかし停留所でまごついていると、40代くらいのご婦人が「どうかしましたか?」
と声をかけてくれた。
聖アントニウス聖堂に行きたいと言うと、帰り道の途中だから連れて行ってあげるとのこと。
トラムに乗って少し話をしたところによると、ずっと以前には大阪に住んで
ダンスをやっていたこともあるらしい。
宝塚歌劇に感動して、日本がとても好きで今でも日本には友達がいるという。
スイスの建築を見に来たというと随分喜んでいた。

Burgfelder-platzに着いてしばらく歩くと、特徴のある打放しの教会が見えてきた。
「旅を楽しんで。」と彼女は言った。僕は彼女に礼を言って別れた。



鉄筋コンクリート造ながら、その屹立した垂直的な意匠は完全にゴシック建築な
カール・モーザ設計の聖アントニウス聖堂。
ただしその尖塔の形状、大胆な色使いのステンドグラスが壁一面を覆う空間構成、
ヴォールト天井などは、この直前に完成したオーギュスト・ペレによる
ル・ランシーのノートルダム寺院にそっくりである。



しかし、あとになってこそP.コリンズが「今世紀の四半世紀で最も革命的な建物」と
評価するものの、当時はしょせん無名だったペレの、しかも処女作に影響を受けるというのは、
ひとえに先見の明と言うべきなのか。

また、こののちにコンクリート打放しの表現としては、粗雑な型枠を使ってわざと荒々しい
表情にするブルータリズムが流行して、コルビュジェなんかもそれに傾倒していくけれど、
聖アントニウス聖堂の地肌はとても滑らかで美しい。
これで築80年とは、にわかには信じられない。



見返すとパイプオルガンさえもまるでアルミルーバーのようで、現代的な表現に見えてくる。

聖アントニウス聖堂を出て、H&dMの初期の集合住宅を探しに南下していると、
またしても最近話題の作品を発見して色めき立つ。


↑ スイス若手の建築家、アンドレアス・ブリュンドラーの自邸でもある「バーゼルのロフトハウス」。
集合住宅だけどワンフロア丸ごと占有という贅沢なコンドミニアムで、エレベータを降りるといきなり自室というつくり。まったくうらやましい。

バーゼルといえばヘルツォーク&ド・ムーロンというくらい作品数が多く、すでにここに至るまでもH&dMの作品は数多く見ることができた。表参道の「プラダ」はおろか、北京オリンピックの「鳥の巣スタジアム」でアジア全域を巻きこみ、世界的に怒涛の侵食を続けるH&dMのデザインスピードには、もはや付いていくことさえ難しい。
そんな彼らの足跡を散策で辿ることができるのも、バーゼルならではである。
 H&dM初期の作品、シュヴィッター集合住宅&ショップ。



まもなく築20年が経とうとしている割には丁寧に住まわれている感じがする。
それにしても作風が今とまるで違って、真剣に・・・と言うと語弊があるけど、
集合住宅を建築計画学的に考えているらしい生真面目さが見え隠れしていて微笑ましい。

歩いたりトラムに乗ったりして、シュパレン門の近くにあるシュッツェンマット集合住宅
へとたどり着く。



実際に見えてくると実に細い。
これもすでに築14年だけど、このあたりからファサードにこそ建築の命が宿ると言わんばかりに、
表層デザインに対して偏執狂的なこだわりを示し始める転換期を示す、
一つのコーナーストーンといえるかもしれない。



このファサードの、粗々しくもきちんとツライチに収まるよう計算されたディテールが
マニアにはたまらない。


1階の細い通路の奥はインテリアか建築の設計事務所らしい。 




ついでと言っては失礼だけど、せっかくシュパレン門の近くまで来ているので門の下をくぐる。



角が丸まったモザイク調の石畳が歴史を感じさせる。



すでに夜、21時近くの夕日を浴びて輝くSBBオフィス。
これまたH&dMの設計



まもなく21時、コープやミグロが閉店してしまう。
急いで広大な駅にあるストアを一周して今夜の食事を買い込む。
こんなに物価の高いバーゼルでは、店で食事しようという考えすらなかった。
しかしこれまでチューリヒ〜ルツェルンで食べてきた経験から、何がおいしくて何がまずいか、
という学習もだんだん累積されて、簡単には食材も選べない。
酢が多過ぎないサラダ、脂っこくないソーセージ、飽きの来ないパスタなんかを
探しているとどんどん時間が過ぎる。
さらに駅の中にはビール屋さんやワイン屋さんもあって目移りする。

なんとか一通りの買い物を済ませてユースホステルに戻り、
当然エレベータもなく4階まで歩いて上る。

部屋に入り、まず濡れたスニーカーの中にトイレットペーパーをくしゃくしゃにして
ねじ込んで窓の外に干した。

またカメラの電池を充電しようと日本から準備してきたアダプターを出して
コンセントに差し込もうとしたけど、形がまるで違う。完全にガセをつかまされた。
しばらく考えて、1階のフロントに行きアダプターはないか訊いてみると、あると言う。
しかし若い女性スタッフの説明がよく分からなくて何度も訊き返すうちに、
彼女の方が面倒くさくなったらしく「とにかく明日の朝には必ず返してね」と言って貸してくれた。

今日の歩行距離はかなりのもので、テレビもない部屋で本を読みながら
飯を食って酒を飲んでいると、だんだん眠くなって来た。

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